FINAL FANTASY XIV SS

FINAL FANTASY XIV を舞台とした創作小説です。

新米中年冒険者の、パッとしない物語

 
  ~始動~ 


自分の記憶が正しければ、気が付いた時にはもうすべてを失っていた。ただ一つだけ覚えていたことといえば、それは「貧しかった」ということだけだ。

 

 

 

強風に煽られて吹き上がる土埃を袖で遮りつつ辺りを見渡すと、自分と同じように汚れきった人々の姿があった。皆ともに疲れ果て希望のない陰鬱とした表情を浮かべながらぐったりと地面に腰を下ろしている。おそらく彼らもまた自分と同じくすべてを失い、ここにたどり着いたのであろう。

少し見上げるとウルダハの強固な城壁が視界を埋め尽くした。まるで来るもの全てを拒むかのように街を取り囲む城壁。だが幸いなことにここの城門は常に開かれているの。私はゆっくりと腰を上げ尻についた土を乱暴に払い、そして麻袋の中から奇麗な服を一着取り出して着替えた。

私はウルダハで人並みの生活を取り戻すために遠く辺境から旅をしてきた。記憶のない自分に何ができるかはわからない。そもそもウルダハが貧民の私を受け入れてくれるかどうかもわからない。しかしただ何もせずに朽ち果てていくのだけはごめんだった。

 

私は両手で自分の頬を叩き気合を入れる。そして期待と不安を胸に私はウルダハの門をくぐった。

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   ~拠点~

 
しまった・・・


ウルダハの街へとたどり着いたはものの、身一つで旅してきた私に当然ながら働き口のつてなどあるわけはない。

さて、この先どうすればいいか・・・
まぁ焦っても仕方がない、ちょっと街を見物して回ってみよう。

そう思い至った私は、キョロキョロと視線を迷わせながらブラブラと街中を歩き始めた。

 

 

ウルダハは街を取り囲むように築かれた円形状の城壁に囲まれた城塞都市である。外周部には商業都市国家「ウルダハ」を象徴するように多くのお店が軒を連ねており、中央部には劇場や闘技場などの遊技施設や各ギルド、そのさらに内側に政治の中心部となる政庁層がある。王宮などの重要施設以外は基本的に誰でも入れるほど開かれてはいるのだが、豪奢な内装で包まれた政庁層にこのみすぼらしい姿で入っていくには幾分精神的に抵抗がある。

マーケットに入るとたくさんの人で溢れかえっており、商人達の元気な呼び声があちこちで飛び交っている。賑やかな喧騒の中をぶつからない様に歩く。周りを見てみるとウルダハには自分のようなヒューラン族のみならず、多種多様な種族の者たちで溢れかえっている。もともとウルダハといえば、ララフェル族によって建国され現在もいまだ王政による統治の続く国だ。
豊富な資源と交易の要所という絶好的な地の利のおかげで、今やエオルゼアにおいて物と金の中心地となっている。また外部の者への門戸は常に開いており、そのおかげもあって様々な土地の商人や冒険者たちで賑わっている。ウルダハという商業都市は私のような地方出の貧しい者たちにとって、一攫千金を狙える夢のようなところなのである。

喧騒に包まれる市街地の一角に、華やかな街並みと対照的な薄暗い路地を見つけた。その路地に一歩踏み入れるとそこには私と同じような薄汚れた連中がたむろしていた。

どうやらここはウルダハの闇、貧民街のようだ。

実際こういう連中はどこにでもいるものが、ここまであからさまに街の一角を占拠していること自体、エオルゼア都市国家では珍しい。遠くに自警団らしき男も見かけるが我関せずといった感じだ。街の特性上、排除しても絶対的にいなくなることのない存在であれば、問題を起こさせない程度に管理し、放置したほうがいいということなのだろう。特にこういう「消えても誰も困らない」存在というのは、利権におぼれるものにとって金に換えられないほど便利なものだからだ。

しかしここが今の自分にとって居心地がいいのも事実。どん底まで身を落としたものにとって、活気で賑わう街というのは少々騒々しすぎる。薄暗く喧騒から少し遠のいたこの場所こそ、この街での活動拠点としては申し分ない。

手始めに話の通じそうな者を探して声をかける。こういうところには必ず「顔役」という元締めが存在する・・・はずなのだが、話を聞く限りどうもそういった人物がいるわけではなさそうだ。ということはもっと大きな「何か」によってここは支配されているということなのだろうか。そうでなければ、犯罪の温床でもあるスラムの治安が保たれるわけがない。

私はとりあえず空いているであろう一角に自分の居住まいを整えた。こういうところに新たに住み着く場合、俗にいう「挨拶」が必要ないというのは、少なからず救いでもあった。

 

冒険者

 

さて、拠点は築いた。これからどうしようか?

さっそく働き口を探しに街中をきょろきょろしながら歩いていると、丸メガネをかけたあからさまに怪しい男に声をかけられた。見るからに信用のおけない出で立ちではあったが、話を聞くだけなら問題は無いだろう。

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男はここウルダハの情報屋で、新参者を見つけると街の案内をしてあげているとのことだ。お代は私が冒険者や商人として大物になった時に、自分を情報屋として贔屓にしてくれればいいと言う。

右も左もわからない新参者を捕まえてちょっと恩を売っておけば、ゆくゆくは必ず自分を頼るようになる。

そう踏んでいるのであろう。小さな親切を餌に大きな儲けを釣り上げるということか。さすがウルダハの人は抜け目がない。まぁ実際のところ困っていたのは事実であるし、断る理由もない。情報屋として腕が立つのであれば、結局はこの男を頼ることになるだろう。メガネの男は自分が冒険者を目指していると勘違いしているようで、冒険者ギルドに行ってみるように勧めてきた。

ここウルダハではこの地域を根城とする蛮族「アマルジャ族」との争いが絶えない。さらにエオルゼアへの侵攻を目論むガレマール帝国も怪しい動きを見せているため、冒険者志望者には手厚い支援をしているとのことだ。加えて商売事に忙しい商売人達は、雑務を頼める冒険者の存在が欠かせないとのことだった。

これからの自分が「何をもって生業と成すか」についてはゆくゆく考えていくとして、それに至るための足がかりのために需要の高い冒険者で日銭を稼ぐことは良策であろう。私は素直に男の案内を受けて冒険者ギルド「クイックサンド」へと踏み入れた。

クイックサンドの中はたくさんの冒険者たちで賑わっており、奥にあるカウンターの中に小さなララフェル族の女性が立っていた。
男が言うには彼女がこのギルドのオーナーで、ウルダハの冒険者達の顔役ということだ。

余談ではあるが、ララフェル族は小柄な種族で、年齢を重ねてもあまり見た目も変わらない。かわいらしい外見からは判断できないほど高齢であることも珍しくはない。しかしながら、このオーナーからはただならぬ風格が漂っている。「冒険者」という風来坊達を取り仕切ってきた理由が必ずある。そう予感させるようなほどの威厳を、その小さな体に漂わせていた。

 

・・・・・まぁ、かわいらしいことには変わりはないのだが。


そんな多大に失礼なことを思いつつ、ギルドのオーナーに挨拶をする。
オーナーは名を、モモディといった。彼女が言うには国や地域を守るためにも商売を行うためにも冒険者の存在は欠かせない。そして5年間に起こった第七霊災終結に関わったとされる「光の戦士たち」の存在に敬意を表しながら、第二・第三の「光の戦士」の誕生を期待し、惜しむことなく冒険者たちへの協力を行っているとのことだった。

ただここ最近古参ベテラン冒険者の引退が目立ち、さらに冒険者を目指すものも減少していることも相まって、活動中の冒険者の数はかなり減ってきている、といううわさも出ているらしい。そのため冒険者を目指すものの存在は、ウルダハのみならずエオルゼア全体にとって、大変喜ばしいことである。

熱っぽく語るオーナーの真剣さと、それと相反するような愛嬌にあふれる立ち振る舞いに、自然と笑みが漏れてしまっていた。それに気が付いたオーナーは頬をあからめ、少し取り乱したことを隠すかのようにいそいそと冒険者の登録を促してきた。


私は迷うことなく登録書にサインをする。

 

やっと・・・いや、ついにウルダハでの生活が始まる。先は見えず、不安がまったくないわけではない。冒険者になる以上、明日にも簡単に死んでしまうことだって普通にある。それでもずっと深淵の底に沈みこんでいた自分が掴むことのできた、希望の一片であることは間違いはない。

 

これまで幾度となく絶望の中を歩んできた。

失望に打ちのめされて天を仰いだ日もあった。

空虚感から歩みを止めた日もあった。

あきらめから身を殺めようと思った日もあった。

それでも、

希望を持てと言い続けてくれた人がいた。

自分のために生きろと諭してくれた人がいた。

多くの屍を超えて今、私はここに立っている。

彼らが死を賭して託してくれた希望の証を

私は生きることで示さなければならない。


誰のものでもない、自分の人生のために。

 

 

~門出~

 

クイックサンドから表に出ると、いつの間にか姿を消していたワイモンドが待っていた。彼は私の姿を見つけると嬉しそうに手を挙げて駆け寄ってくる。自分が冒険者として登録をしたことを知ると、まるで自分のことのように喜んでいた。ワイモンドは「冒険者として新たな門出を迎えたものへのご祝儀」ということで、この街中で仕事の依頼先を求めている人物のリストを差し出してきた。

親切にしてくれるのはありがたいものの、初対面の者に対する好意としてはちょっと行き過ぎている様な気がする。なんといってもここは思念渦巻く黄金の魔境「ウルダハ」だ。ワイモンドはリストの受け取りを躊躇する私の気持ちを察してか、一度差し出した手を引っ込めバツの悪そうな顔をしながら説明してきた。

 

実のところ自分は冒険者ギルドのモモディ氏と手を組んでいて、この街を訪れた新参者をここへ案内するのが仕事の一つである。晴れて冒険者となった者にはまずは簡単にこなせる仕事の依頼主を紹介して、この街を活動拠点として根付いてもらえるように誘導している。そして紹介する様々な仕事を通して、この街で生活をしていく上で最低限必要な「知識」を身に着けてもらっている。そして最終的にその者が「冒険者」として適性かどうかを審査しモモディ氏に報告している。

冒険者といっても必ずしも皆が正しくあるとは限らない。そもそも出自が不明確な風来坊がほとんどであり、その者が冒険者として信用に値する人物であるかどうかの判断は見ただけでは難しい。だからこそ自分のようにこの街で広い顔を持つ情報屋が行動を監視して、逐次情報を冒険者ギルドに流している・・・いや、正確には売っている。監視しているなんて聞こえが悪いかもしれないが、適性もないのに冒険者になってしまったら、外に出た途端あっという間に死んでしまう。また最近では冒険者を装ったガレマール帝国の間者の流入が重大問題となっているため、国防上の重要な「役割」として国からも認められている。


すべてが手遅れになる前に、先手を取って食い止めるのも冒険者ギルドの務めってやつだ。悪く思わんでくれ。

 

ワイモンドはそう言うと、自分に向かって深々と頭を下げた。事情が分かればこちらも我を張る理由はない。そもそも私は「悪いこと」をしにここに来たわけではない。私はワイモンドに一歩あゆみ寄り右手を差し出した。それを見たワイモンドは顔を上げ満面な笑みを浮かべ、改めて握手を交わした。正直「見られている」というのは心地いいものではない。しかし自分としては隠すことなど何もないし、ただ普段通りに過ごせばいいだけのことだ。

最後に彼は私にひとつ忠告をしてくれた。


「うまい話はこれで終わり」

 

 

  ~剣術士ギルド~

ぼーっとしていても仕方がないので、早速ワイモンドから渡されたリストを手に依頼主のもとを訪ねてまわった。どの依頼も雑用程度のものばかりで、特に専門の能力を求められるようなものはない。しかしながら彼が言った通り、依頼を通してこの街の内情を垣間見ることができた。

「お使い」を通して分かったことだが、この街には様々な戦闘職と製作職のギルドがある。特に製作系ギルドへの所属はこれから金を稼ぐ上で必ず重要になってくるだろう。ただたくさんありすぎてどこに所属すればいいかいまいちわからないのだが・・。

 

雑用仕事をまじめにこなし顔を覚えてもらいだしたある日のこと「獣を倒して素材を集めてほしい」という依頼を受けた・・・のだが、

・・・・そういえば武器を持っていない。

旅の道中に携えていた剣はあまりにもボロボロでみすぼらしかった為「邪魔だから」という理由でウルダハに入る前に難民キャンプにあった露店で二束三文で売り払ってしまっていた。

仕方がない、新しく買うか。

私は雑用仕事で得たなけなしの金を手に、市場に向かった。

 

うーん・・・

 

店先に雑に置かれている剣を手にとってはみるものの、どれも思っていた以上に質が悪い。見てくれこそ剣のなりをしているが、細かく見てみると柄と刃の固定が甘くかったり、刃は打ち込みが足りずに強度不足だったり、重心がずれていて振りにくかったりと、まぁ何とも色々と問題のある商品が多い。

 

これを買うんだったら、売ってしまった剣を買い戻して鍛え直したほうがよっぽど安価で済む。今もまだ残っているかどうかはわからないが戻ってみるか・・・

 

店での購入をあきらめて難民キャンプの露店に向かおうと思ったその時、ふと冒険者ギルドでモモディ女史から「剣術士ギルド」への入門を勧められていたことを思い出した。

 

ひょっとしたら、入門すればそこで剣を一本譲ってもらえるかもしれない。最悪「ただ」ではなくとも剣術士ギルドにならまともな剣があるだろう。だめだったときは剣を買い戻しに戻ったらいいか。場所は確か・・・闘技場のあるホールの一角だったな。

 

私は踵を返し剣術士ギルドへと歩を向けた。

 

剣術士ギルドに到着すると汗の臭いが染みつく男臭い場に似つかわしくないほど対応の軽い受付嬢に、冒険士ギルドのモモディ氏からの紹介で来たことを告げた。既に話は通っているらしく剣術士ギルドの説明をチョー簡単に受けた後、ギルドマスターであるセラの元へと案内された。

受付から報告を受けたセラは、なんとも言い難いような難しい表情をこちらに向けている。実のところ冒険者ギルドに登録してから既に数日が経っており、一向に顔を出さない自分のことをいぶかしく思っていたらしい。私はセラにここ数日の動きを簡単に説明すると、納得したもののやはり不満げな表情を向けたまま、

 

(ワイモンドめ・・・・順番が違うぞ)

 

とか何とかブツブツと呟いていた。改めて私はセラから剣術士ギルドの説明を聞き入門の意思を伝えると同時に頭を掻きながら剣を持っていないことを伝えた。セラは呆れた表情を浮かべながら近くに立てかけたあった一振りの剣を手に取り、半ば投げやりな感じで私に向かって剣を投げ放った。

 

「練習用の剣ではあるが、街の近くにいるモンスター程度なら問題なく倒せるだろう。初心者でも扱いやすいようにバランスもとっている。代金はいらんから結果で返せ。」

 

私は慌てながらその剣を掴み取る。どうやら初対面の印象は最悪なようだ。ここでやってけるかどうか少し不安になったが、私は気を取り直して受け取った剣を試しに振る。

 

(やはり私の予想は間違っていなかったようだ。)

 

練習用の剣ということなので装飾の類は一切無く作りもいたってシンプルだ。しかしながら刃と柄のバランスは絶妙で振った時にも刃全体に力が伝わるように作られてる。しかも軽いおかげもあって切り返しが容易であり、攻守に優れた剣であることがわかる。刃にいたっても決して質のいい鉄ではないものの必要十分以上の硬さが出るように工夫され丁寧に製錬されていた。セラは試し振りする私の姿を見て「ほう?」と感嘆の息を漏らす。


「剣すら持っていないと言うもんだからとんだ素人がきたもんだと思ったのだが、なるほど・・・モモディから聞いていた通りずいぶんと筋はいいようだ。多少荒削りではあるが剣をふるった経験があるようだな。ではなぜ剣を持っていないのだ?」


セラの目が細まる。どうやら自分に対して新たな疑惑を抱いているようだ。ひょっとしたらワイモンドが言っていた「ガレマールの斥候」と勘違いしているのかもしれない。私は放浪暮らしの道中、食糧確保やモンスターから身を守るために剣を携えていたが、ボロボロだったためウルダハの城門の前にあった露店で売り払ってしまった。素材集めの依頼を請けて必要になったため、改めて調達しようと市場に行ったがろくな剣が売ってなかったことをセラに説明した。

 

「ん? ボロボロの剣だと?・・・・・するとあの剣はもしや・・・・」

 

 

セラは思うところがあったのか不思議そうな顔でぶつぶつと何かを呟き、時折うんうんと小さく頷きながら何かを考えているようだ。

 

「市場で店頭に飾っているものなんてのは見てくれだけの三流品しかないよ。あそこで売っているものの大半は野良の鍛冶職人に大量に作らせた粗悪品で、色々とケチをつけて二束三文で買い叩いたものを無知な客を相手に法外な値段で売りつけているんだ。いい業物ってのは大抵店の奥に仕舞っていてお得意様か金の持っていそうな冒険者が来た時だけ、掘り出し物があるなんて売り文句でこっそり出すのさ。

商売を長くやっていく上で大事なのは金を持っている「お得意様」をいかに作るかってことで、そのためには「あんたにだけ」っていう特別感が重要だからな。お前は目が利くようだが、商人にとっては金づるの匂いがしなかったんだろうね。ひょっとしたら商売敵が相場を見に来たと勘違いしたかもしれんよ?ともあれ、相変わらずここの連中のやることは姑息で腹立たしい限りだね。」

 

苦々しい表情でセラは語る。


「その点ここにある武具はすべて「リムサ・ロミンサの大手鍛冶ギルド」に直接製作を依頼したものだからな。練習用だからといって粗末なものは一つもないぞ。初心者は特にダメなものを持たせると変な癖がついてしまうし、戦いの最中に壊れちまったらそれこそ本末転倒だ。武具にも目が効くようになるために常に良いものに慣れさせているのさ。「ここの剣士は剣を見る目が無い」なんて評判がついてしまったら信用にかかわるからな。そういうところまで気を使っているんだ。だからお前もここに所属する以上、ギルドの看板を背負っていることを自覚した上で行動してくれよ。」


セラは真剣な表情で話す。だが、先ほど私に対して向けられていた疑惑に満ちた表情は消えていた。どうやら私をギルドの一員として認めてくれたようだ。私はほっと胸をなでおろした。


「さて、前置きが長くなったな。では早速だが街の外にいるモンスターを何匹か狩ってこい。武具の製作依頼をしているのだが、材料が足らんらしくてな。必要な材料と必要な量を書いたリストを受付のルルツから受け取ってくれ。では頼んだぞ。」


そう言うとセラは、修練中の者への技術指導に戻っていった。
受付に目を向けるとルルツが嬉しそうに私に向かってチョー笑顔でブンブンと手を振っていた。