第九話 「休息の旅路」
私は斧術士を倒した後、突然現れた銅刃団の男の言う通りにシルバーバザーやスコーピオン交易所には寄らずウルダハの街へと戻った。街へ入りギルドに向かう間ずっと自分を見るような視線を感じた。ふと先ほど銅刃団の男に言われたことを思い出す。
(目立ちすぎるなよ)
私がシルバーバザーに肩入れしている情報が既にでまわってしまっているのではないか。しかしさっきの今でこんなにもすぐ伝わるものなのだろうか・・・
緊張で汗が滲み出る。しかしここで不審な行動をしてしまえば相手にとって格好の餌だ。私は何も気が付いていない素振りをしながら急ぎ剣術士ギルドへと向かった。
ギルドに戻ると、受付のルルツは私を見るや否や、
「ぎゃははははっ!!!!」
と、およそ乙女とは思えないような下品な笑い声をあげて転げまわった。その笑い声に気が付いたミラは、一度私を唖然とした表情で見たかと思えば顔を背け、肩を震わせて笑っていた。近づこうとする私を手で遮り「ちょっと待てと」静止する。しばらくの間なぜこんなにも爆笑しているかを理解できなかったが、ふと自分の格好を思い出してしまい急に恥ずかしくなった。そういえば街中でどうも視線を感じると思っていたのだが、どうやら私の格好が原因だったようだ。今までの出来事が出来事だったためすっかりと忘れてしまっていた。
「おまえ・・・・くくっ・・ふざけてるのか?」
ミラは何とか笑いをこらえながら、私に聞いてくる。
(心外だ・・・)
ただなんというか、ルルツやミラの素直な笑い声が心に響き渡るたびに鬱屈に沈んでいた私の気持ちは少しずつ軽くなっていった。息を整えたミラは改めて私に向き直り、まじめな顔で私に聞く。
「・・・・・終わったのか?」
私は静かにうなずいた。
「・・・・そうか。」
ミラは一言そういうと私の肩に手をおき、
「疲れただろうから宿に戻って休んで来い。明日からお前には見習い剣術士の練習相手になってもらわんと困るからな。」
修練場を見ると以前手合わせをした剣術士が私に向かって礼をする。
「あの一件以来な、アイツも積極的に実践に出るようになったんだよ。それまでは、
自分は闘剣士になりたいのであって、冒険者になりたいわけじゃない!
なんてこ生意気なことを言って外に出たがらなかった奴がだ。初めて実戦に出た時なんてなんてことない獣にコテンパンにされて帰ってきたよ。」
ミラは剣術士の青年を見ながらニヤニヤと笑っている。
「それで身に染みたようだ。剣術士として必要なものは何なのかってやつをね。確かにお前の闘い方はただ乱暴で見た目の派手さはないかもしれない。だから見世物である闘剣士としては失格だ。だが冒険者として大事なのは「どう闘うか」ではなくいかにして「生き残るか」だ。死を賭して戦ったものでしかできない闘い方がある。それをお前は知っているんだ。そしてその闘い方を学びたいと思っている奴もいるんだよ。
お前は何も変わっていないと感じているかもしれないが、お前を見て変わろうとするやつもいる。自分が思っている以上に、お前は周りに色々なものを与えているんだ。だから辛気臭い顔をしてる暇があったら、胸を張って前へ進め!」
「バンッ」とミラは私の胸を叩いた。沈んでいた心に活が入る。私がうなずくとミラは満足そうに笑った。
「そうだ、クイックサンドに戻るのならモモディにも報告をしてくれ。あいつもキキプとは旧知の中だ。随分と心配していただろうからな。」
私は剣術士ギルドを出てクイックサンドへと向かう。その時受付のルルツは笑いすぎて腹がつったのか、腹を押さえて涙を流しながら「ヒッヒッ」と顔を歪めながら、言葉にならない声で何かを言っていた。
「あら、お疲れ様。」
モモディ氏は私のことをいつも温かく迎えてくれる。ここにつくと気持ちが和らぐのはなぜだろうか。私はモモディ氏にシルバーバザーでの一件を報告する。すべてを聞き終えたモモディ氏は「そう・・・」と物憂げな表情でつぶやいた。
「シルバーバザーを救ってくれてありがとう。キキプとは昔遊んだ仲なのよ。キキプはああ見えても、シルバーバザーの美人看板娘として有名だったんだから!でも第七霊災の時にお父様が亡くなってしまってから、人が変わってしまったように周りが見えなくなってしまったの。キキプのお爺様やお父様が守り続けてきたシルバーバザーを、何とか立て直したいという一心だったんでしょうね。何度か手紙も出したのだけれど返事が返ってくることはなかったわ。シルバーバザーのその後のことは人伝手で聞いていたけれど、いい噂は何一つ聞かなかった。今の型落ち品の商売にしても、キキプのお爺様やお父様だったらそんな商売には絶対に手を出していない。たとえシルバーバザーの地を捨てることになっても、まっとうな新しい商売を探していたと思うわ。」
キキプは溜息をつきながら、
「無理なことはしなくてもいい。でも、あの子の力になれそうなことがあればこれからもよろしく頼みます。あなたのいうことなら素直に聞いてくれそうな気もするしね。」
そう言いながら、キキプは私に頭を下げた。
「さぁ! 辛気臭いお話はこれでおしまい! あなたに一つお願いしたいことがあるのだけれど・・・依頼を頼めるかしら、冒険者さん?」
モモディ氏は話題を変えるように私に仕事の依頼をしてきた。
「別に急ぎの用事ではないんだけれど、この手紙をベスパーベイ港にある「砂の家」の受付の子に渡してほしいの。クイックサンドのモモディからって言ってもらえればわかるわ。ここのところずっと大変だったみたいだから、ちょっと羽を伸ばす気持ちで行ってきなさいな。ベスパーベイにはまだ行ったことないんでしょ? あそこにはウルダハの祖国であるベラフディアの遺跡があったりして観光にももってこいなのよ?」
フフフッと柔らかくほほ笑む。
「あと聞いた話なんだけれど、今ベスパーベイ港に腕利きの「染色師」が逗留しているみたいなのよねぇ・・・」
とモモディ氏は私の格好をチラチラ見ながら小声で話す。
「あっ、別にあなたの格好が変とかそういうことを言ってるんじゃないわよ! あなたの趣味をとやかくいうつもりもないし・・・・・でもそのぉ・・・ねぇ? 冒険者としてはちょっと目立ち過ぎるんじゃないかなってね。」
モモディは慌てて取り繕いながら遠慮がちに話す。
(キキプの話ではこの防具は精密すぎて生半可な腕では色を変えることができない。しかし腕利きの染色師ともなれば、色替えできるのではないか?)
今の私にとっては願ってもない話だ。詳しく聞かせてほしいとモモディ氏にせっつく。
「そんなに焦らなくても大丈夫よ! 私はあまり詳しくは知らないのだけれど「砂の家」の受付の子だったら詳しく知っているかもしれないわ。
(善は急げ!)
とばかりにベスパーベイに向けて出発しようとする私をモモディ氏は引き止め、
「ちょっと待ちなさい! ちゃんと休んでからいかないとだめでしょ! 今日はゆっくり寝て、明日に出発なさい!」
とごもっともなお叱りを受け、私は宿の部屋へと向かった。思えば雨に打たれるなか命を賭した闘いをした体は自分が思っている以上に疲労でいっぱいだった。ベッドに倒れこむや否や急速に襲い来る眠気に抗うことができず、深い眠りに落ちていく。
今日も生きてここで寝られることを、ありがたく思おう。
~ベスパーベイ~
ベスパーベイは西ザナラーン北西の岸壁沿いに作られた新しい港である。大型化する船舶を受け入れるためにシルバーバザーの代替港として計画され、ザナラーン商人のロロリトによる多大な出資を受けて新設された。
ベスパーベイはお世辞にも湾港を建設するには適しているといえない土地にある。しかしウルダハ近郊において湾港の水深の深さを確保しつつ、開発可能なところがここしかなかったため「実現不可能な工事に多大な国費を費やすな」という多くの反対意見を押し切って建設が着手された。案の定、建設工事は難航に難航を重ねることになる。
湾港建設にあたって立ちはだかった壁は4つ。
一 岸壁の整備
ザナラーンの海岸線の多くは高い崖になっていて、湾港に適している低地がほとんどない。ベスパーベイ建設地は浸食によってできた海抜の低いところにあったものの、水深の深さも相まって岸壁や港の基礎工事に多大な労力と費用が必要になった。
二 足跡の谷の地盤の悪さ
ベスパーベイ建設地の手前には足跡の谷という遺跡群が広がっている。
そこは現在でも多くの土地が水没しているところではあるが、建設当時は街道自体もまた未整備であり、ぬかるんだ地面に足を取られて建設資材の運搬を困難なものにさせていた。
三 急勾配の存在
西ザナラーンから足跡の谷へと降りるには、急な勾配になっている隧道を通る必要があり、ここもまた建設資材の往来を妨げる難所であった。
四 隧道(ずいどう)
足跡の谷からベスパーベイ建設地へと行くためには整備の乏しい細い隧道を通る必要があったが、荷車がすれ違えるほど広くはなかったうえ、脆い地質のせいで落盤も多かった。
上記の原因によりベスパーベイ港の建設は難航。完成すら危ぶまれたが、ウルダハの有力商人であるロロリトが私費を投じて建設事業に巨額出資したことにより、ベスパーベイ港建設は頓挫を免れることになる。
多額の出資にて発言権を得たロロリトは工事の進め方の抜本的な見直しを行う。まず建設資材運搬の難所である急坂に揚重用のウィンチを設置。それと同時に足跡の谷においては、流入する水を一部堰き止めたうえで海へと続く水路を作り陸地の確保を行った。そして露出した街道沿いの地盤を改良の上、すれ違えるよう横幅を拡張した。
街道が整備されたことにより運搬効率は劇的に上がり工事のスピードは向上。困難だった岸壁の整備も何とか完成にこぎつけ、ベスパーベイ港は新たな湾港として船出する。
しかしながら時間のかかる隧道の拡張工事は後回しにされていたため、すれ違いが出来ない隧道の通行に時間がかかることと、シルバーバザーに比べてウルダハまでの陸路が長いため、従来通り小型船舶を使用してシルバーバザーで荷揚げする運搬船も多く、ベスパーベイ港は大型船専用港として機能し始めたものの、大型船自体の絶対量が少ないため、投じた資金を回収できるほどの活躍を見せることはなかった。
その現状を憂慮したロロリトは、隧道の拡張工事と共に足跡の谷を登った先に「ホライズン」という物流中継拠点の建設を進言。ここに物流拠点を置くことにより、それまでスコーピオン交易所にすべて送られていた荷物の内、地方に送られる荷物をここでいったん荷捌きし、直接運搬することで交易路の弱点克服を狙った。ホライズン建設後もしばらく交易量は伸び悩んでいたものの、第七霊災以後シルバーバザー港が使えなくなったことを契機に交易量は倍増。一躍ザナラーンの海の玄関口としての地位を確たるものにしていったのである。
補足的に触れておくが、ベスパーベイ港の近くには古くから「クレセントコーヴ」というなの小さな漁村があり、漁業を中心に営んでいた。陸路の整備が不十分だった時はここからシルバーバザー行きの小型の定期便の需要が高く賑わいをみせていた。そもそも港としてはシルバーバザーよりも広く多くの船舶を停泊できたことから、ベスパーベイよりも賑わっていた時期もあった。
しかしシルバーバザー同様、霊災後の潮流の変化により外洋での操業ができなくなったおかげで水揚げが激減。さらに陸路が整備されると船便を利用するものも少なくなり、現在は近海でとれる少数の海産物とたまに利用される船便で細々と生活している。
翌日、私はベスパーベイに向けて宿を出ようとするとモモディ女史が呼び止めてくる。
「ベスパーベイまでは遠いわ。だから今回はチョコボポーターを利用しなさい。お代はもう払っているから話せばわかるようにしているわよ。そのお代金も報酬の内と思って構わないわ。」
そういってモモディ女史は私を笑顔で送り出してくれた。
(モモディ氏には絶対に逆らえないな・・・)
そう思いながら「行ってきます」と言ってクイックサンドを出た。
ベスパーベイへと向かう前に剣術士ギルドへと寄り、剣の修練に参加することにした。以前剣を交えた青年と練習仕合をおこなったが、何度か剣を合わせただけで彼の成長が手に取るようにわかる。以前は形と見た目にこだわるあまり派手さの割に一撃一撃が軽かったのだが、今回その欠点は息をひそめ一撃に勝利の思いを乗せ隙間なく貪欲に打ち込んでくる。更に体裁きを教えればすぐに体得し、あっという間に自分の動きの一部にしていく姿に私は驚いた。若さもあるだろうがさすが剣術士ギルドきってのエースだ。呑み込みの速さが尋常ではない。
ミラの話では自分と手合わせをする前まで闘剣士としても伸び悩んでいたらしいが、その後実践を繰り返していく中で、グングンと成績が上がってきているらしい。
今はまだ実戦経験が少ないこともあり、いい意味での「狡猾さ」や予測外の展開への対処におぼつかなさはあるものの、このまま実践を重ねていけば私程度であれば簡単に追い越されてしまうだろう。
「どうだい? 生まれ変わったうちのエースは?」
と、ミラは我が子を自慢するようににやけ顔で聞いてきた。「ミラも人が悪すぎる」と嫌味をいいながらも「人が変わったようだ」と素直に感想を言う。私の答えにミラは満足そうに笑いながら「これからも相手をしてくれ」と私に言った。
理由はどうであれ「必要としてくれている」というのは中々に気持ちのいいものだ。この先どれだけ彼の相手が務まるかはわからないが、未来を背負って立つであろう若者の力になれるのであれば、少しでも協力していこうと思う。
修練が終わると、私は去り際に「モモディ氏からの依頼でベスパーベイに赴く」ことを伝えると「なんだ、せっかちなやつだ」とあきれながらも、
「行ってこい!」
と笑顔で送り出してくれた。青年の「ありがとうございました!」という大きな声に後押しされながら、私はベスパーベイへと向かう。
チョコボには初めて乗るが、こんなにも便利なものだとは思わなかった。今まで移動費をケチるためチョコボポーターを利用したことはなかったのだが、ここまで移動速度が違うとなると、遠方へと赴く場合は利用を検討しなければならないなと素直に感じた。
剣術士ギルドに寄り道したこともあり出発が遅かったためか、チョコボポーターを利用してもベスパーベイへ到着する頃には陽は傾き始めていた。私はベスパーベイの門をくぐると見えてくる、一つの大きい銅像に目を奪われた。土台に刻まれた銅像の名を見てみると「ロロリト像」と書いてあった。ベスパーベイ建設の際に多大な資金援助を行ったことは聞いていたが、銅像を建てさせるなんて随分と悪趣味なことをすると思ってしまう。でもまあこの人の出資がなければこの港は存在していなかったのだから、当然といえば当然かもしれないが。
私は街の人に「砂の家」の場所を聞き、寄り道せずにそこへと向った。砂の家と呼ばれる家にはいると受付に一人の可愛らしいララフェルの女の子が座っている。
私が入ってきたことに気がついていないのか、陽気に何かを口ずさんでいた。
フンフ フンフ フーン♪
すーなの こーやに おーはなーが さーいたー。
フンフ フンフ フフフ フフーン。
きーれいーな おーはなーは こーいの はーじ、まりー。
わーたしーの こーころーも はーじ、けるのー。
ベキッ! ドキッ! バキーン!
ドスッ! ドカッ! ドカーン! 」
・・・・・。
私は受付のララフェルの前にしばらく立っていたのだが、相手は一向に気がつく気配がない。なんか可愛らしいのでこのまま見ていたいが、それはそれで変なので私は「んんっ」と一つ咳払いをした。
「ん?・・・・おおう!?」
やっと私の存在に気がついた受付のララフェルは一瞬驚くとすぐに居住いを正し、まるで何事もなかったかのように装いながら、
「砂の家に何の御用でっすか? 申し訳ないでっすが、ここは一般の方の立ち入りは、お控えいただいてございまっす。すみやかにお引き取りねがいまっす。」
と、つんけんとした対応でお断りされた。歌っている姿は剣術士ギルドのルルツと同類だったが、対応を見る限りどうやらこちらのほうは一回り大人のようだ。わたしはモモディ女史から預かっていた手紙を受付の少女に渡す。
「何ですかこれは・・・・なんだってーん!」
いぶかしげに私から手紙を受け取り、宛名を見ると「わわっ」と驚いた。
「モモディさんからのおつかいの方でしたか! これは大変失礼いたしました。あなたの格好があまりに奇天烈で怪しさ大爆発してまっしたので、不審者と見間違えてしまいまっした。」
そう謝り(?)ながら、受付のララフェルは改めて私の格好を臆面もなくジロジロとみ始めた。
「ふむ・・・・この方は、ここ最近町に居ついているへんてこな方のお友達なのでしょうか? これは新たな謎発見なのでっす・・・・ふむむっ。」
受付のララフェルは唸りながら一人悩み始めている。
(もう手紙も渡したから退散し・・・・ん・・・へんてこな人? ひょっとしてその人は私の探している染色師か?)
私は受付のララフェルにその「へんてこな人」について詳しく教えてほしいと聞く。
「あんな愉快痛快な格好をした人を知らないなんて、冗談はその服装だけにしてください。この町では結構噂になってるのでっす。自分のことを「美の伝道師」と言っている胡散臭いおと・・いや、おん・・・な??」
何かに引っかかることがあったのか、再び少女は悩みだしてしまった。
「でかい図体に厳つい顔しているのに、しゃべり口調は全然オスらしくないのでっす。でも動きはメスっぽいのにメスでもない?・・・・あいつはいったい何者なのでっすか?」
(いや、私に聞かれても困るのだけれども・・・)
「やっぱりこの世界には不思議がたくさん溢れているのでっす。」
どこか達観した目をしながら無理やり自分自身に結論づけているようだ。どうやらこちらの受付の方も、剣術士のアレと同じく大事なところの「ネジ」が外れているようだった。ふと受付の奥を通路を一瞬横切った銀髪の青年に目がいく。
(あれは・・・?)
見覚えがある気がするが、一瞬だったので顔まで確認することはできなかった。
(ササガン大王樹で出会った青年と似ていた気がするのだが・・・そもそも、この「砂の家」は何をするところなのだろう?)
そのことを少女に質問をしてみたが、
「モモディさんのお使いとはいえ、変な人とお知り合いの変な人には教えられないのでっす。」
(・・・・。)
いつの間にかこの少女の中で染色師らしき人と私は「お友達関係」という結論にいたっていたようだ。
(訂正・・・・ルルツよりひどい)
砂の家を出ると陽は大きく傾き、今にも水平線に沈もうとしているところだった。
(なんだろう・・・何もしてないはずなのに疲労感がひどい)
無駄に徒労感を感じた私は、とりあえず今日の宿を探そうと町中を歩いていると、
「ちょっとそこのあなた!!」
と、しわがれた裏声で誰かに呼び止められる。声がしたほうを見るとそこには、
私と同じような色彩の服装をしたおと・・・お・・ん・・・、変な人が立っていた。