FINAL FANTASY XIV SS

FINAL FANTASY XIV を舞台とした創作小説です。

2017-01-01から1年間の記事一覧

第十六話 「受け継がれる護身刀」

ホライズンに着くと、眠気と戦っているのかうつらうつらしながらも必死に堪えているフフルパに声をかける。フフルパはビクッと体を揺らして驚きおののいた。 じ、自分は決して居眠りなんかしてないのであります! と、誰に対して言い訳をしたのか分からない…

第十五話 「ウルダハの闇」

これは・・・・夢? 私は、夢の中であの銀髪の青年を見ている。夢にしては随分とはっきりとした感覚。でも実体は無く、私はふわふわと空を浮遊するように、ウルダハの街を俯瞰で視ていた。 同じようで、どこか違うウルダハの街並み。そして、銀髪の青年は幾…

第十四話 「成功の表と裏」

ブラックブッシュ停留所は、中央ザナラーン北部中央にある鉱石の精錬施設を中心とした集落だ。元々、古代アラグ帝国時代に築かれたとされる「アラグ陽道」と「アラグ星道」の二つの街道が交わる交通の要所として、キャンプ・ブラックブッシュという銅刃団の…

第十三話 「その男、サー・キヴロン」

「ただ・・ちぃっとばかし問題があってな・・・誰もサー・キヴロン男爵Ⅲ世の顔を見たことがないんだ。」さすがの私も言葉を失った。そういうことは、早く言ってほしい。ハメられた・・・・という腹立たしさで胸がいっぱいになる。 結局のところ、この急襲作…

第十二話 「貧民街の連隊長」

ロストホープ流民街は中央ザナラーン北東部、ブラックブッシュ停留所の北側にある集落だ。ザナラーン中央部には「ストーンズスロー貧民窟」など、たくさんの貧民街が存在する。それは、中央ザナラーンには水辺が多く存在することと、自然洞窟など身を隠せる…

第十一話 「手紙の行方」

ホライズンの門を出ようとすると、先日出会った銅刃団のララフェルの男が門の前でうろうろとしながら何かブツブツと呟いている。関わりあいになると面倒だと思い、目を合わせないようにしながら脇をすり抜けようとする・・・が、「あっ! あなたは冒険者さん…

第十話 「華麗なる染色の世界」

「素晴らしい!! 素晴らしいわ!!」そう言いながら、その変な人はつかつかと近寄ってくる。私はその変な人のあまりの迫力に身じろいでしまった。「薫る戦いの残香、鉄と脂と血の臭い!実用一辺倒な防具であることを一切感じさせないその艶やかな色彩!冒険…

第九話 「休息の旅路」

私は斧術士を倒した後、突然現れた銅刃団の男の言う通りにシルバーバザーやスコーピオン交易所には寄らずウルダハの街へと戻った。街へ入りギルドに向かう間ずっと自分を見るような視線を感じた。ふと先ほど銅刃団の男に言われたことを思い出す。(目立ちす…

第八話 「戦斧を砕く剣風 其の二」

私はオスェルからもらったリストを参考に雨が降る日を待った。この時期は雨期にも近く条件が重なる日にあたるまでそれほどかからなかった。本来ならばすぐ駆けつけられるようスコーピオン交易所で待機していたいところだったが「見慣れない冒険者が居座って…

第七話 「凋落の故郷」 

~ スコーピオン交易所 ~ スコーピオン交易所はウルダハ西部、ナナモ新門を出てササモの八十階段と呼ばれる長い階段を下りた先にある物流集積拠点だ。ナナモ新門は霊災後に現国王であるナナモ・ウル・ナモ女王陛下の即位を記念して建設された新しい門である…

第六話 「武器と防具」

シルバーバザーでの2日目の朝。私は宿屋のベッドで目覚めむくりと起き上がる。(うぅ・・・頭が重い。)ベッドで寝たのにもかかわらず今日の目覚めはひどく悪い。昨晩は久しぶりに寝つきが悪く、今にしてもいつ寝ていつ起きたのかが分からないほど睡眠をとっ…

第五話 「銀色に輝く故郷」

シルバーバザーはザナラーン西部、金槌台地の南西にある小集落である。ウルダハにほど近い入り江にあるシルバーバザーはかつてザナラーン地方とバイルブランド島との交易を支える海の玄関口として、海運や漁業で賑わう交易中継点であった。シルバーバザーの…

第四話 「休息」

冒険者ギルドに行くと、モモディ氏が笑顔で迎えてくれた。「あら遅かったわね。サンクレッドから聞いているわ。大活躍だったらし・・・・随分と顔色が悪いわね・・・大丈夫?」モモディ女史は心配そうに自分の顔を覗き込んでくる。「大丈夫だと答える」がモ…

新米中年冒険者の、パッとしない物語

~ササガン大王樹の下で~ 中央ザナラーンの南側、刺抜盆地と呼ばれる一帯の中に一本の大きな樹がある。この地域の者たちはこの木を「ササガン大樹」と呼び親しんでいる。「ササガン」という名前の由来はウルダハの建国者「ササガン・ウル・シシガン」にあり…

新米中年冒険者の、パッとしない物語

戦斧を砕く剣風 剣術士ギルドへ入門し最低限ではあるものの剣術士としての装備も一式揃ったかげで請け負える依頼の幅も格段に広がった。そのおかげもあって仕事を通して自然と人との繋がりも広がり、仕事の依頼も増えるようになっていた。名前を覚えてもらえ…

新米中年冒険者の、パッとしない物語

~始動~ 自分の記憶が正しければ、気が付いた時にはもうすべてを失っていた。ただ一つだけ覚えていたことといえば、それは「貧しかった」ということだけだ。 強風に煽られて吹き上がる土埃を袖で遮りつつ辺りを見渡すと、自分と同じように汚れきった人々の…