FINAL FANTASY XIV SS

FINAL FANTASY XIV を舞台とした創作小説です。

第四十〇話 「罠」

あなた方の帰国手続きは私の方で手配させていただきますよ。なに、警備が厳しいと言ってもコネさえあればなんとでもなるのがウルダハです。損得の天秤が「得」に傾けば、規則なんて全く意味はありません。 そう言って商人らしき男は後ろ手に控えていた大柄な…

第三十九話 「闇」

私は何事かと思い、声をかけてきた商人らしき男を見ると、どうにもまっとうな商売をしていなさそうな身なりをしている。私は少し警戒しながら「もしかして私のことですか?」と聞くと、商人らしき男はうんうんと大きく頭を縦に振った。 ウルダハの危機を救っ…

第三十八話 「晩餐会への招待」

法務庁の突然の訪問により、和やかな雰囲気だったギルド内の空気が一気に張り詰める。その空気を法務庁の者達も察したのか、 いや・・・驚かせてしまってすまない。こちらの者の不手際により、ギルドの皆さんに迷惑をかけてしまったようだ。首謀者はいまだ逃…

第三十七話(外伝) 「ララフェルの少女」

聞いて・・・・・・感じて・・・・・・考えて・・・・・・ 頭の中に響き渡る声・・・ またこの夢だ・・・ 私は大きなクリスタルの周りを、何をすることもできずに只々浮遊し続けている。 聞いて・・・・・・感じて・・・・・・考えて・・・・・・ うるさい・・・ 耳を塞いでも、聞こえてくる声に…

第三十六話 「折れたザル剣」

アルディスは剣をリーヴォルドに向けながらも動かない。 どうした? こんなところで情に走るなんぞ、愚か者のすることだぞ? と、リーヴォルドは自分に剣を向けたまま動かないアルディスを煽る。 リーヴォルド・・・馬鹿なお前に教えてやるよ。 リーヴォルド…

第三十五話 「ハイブリッジの戦い」

ハイブリッジに向かう前に剣術士ギルドに立ち寄ると、数名の剣術士が戻っていた。みな浮かない表情をしながら、状況を把握できずに戸惑っている様子だった。話を聞いてみると、街中で誰に聞いてもアルディスのことはおろか、ナナモ様暗殺未遂のことを知って…

第三十四話 「ナナモ女王暗殺計画」

ミラは復帰しているだろうか・・・ 剣術士ギルドにつくと私は入り口のドアを開け、そーっと中を覗き込んだ。 ??? 剣術士ギルドの入り口は開いていたものの、中に人の気配がない。私は不思議に思いながらもこっそり中に入ると、 コラァァァァッ!!!!! …

第三十三話 「上に立つもの」

その後私は、迎えに来た銀冑団の者に連れられてウルダハへと戻った。 宿へと連れて行ってもらえばいいと言ったのだが、恩人に大事があってはまずいとのことで、半ば強制的にフロンデールの病院へ連れられて行った。手厚い保護をしてもらえるのはありがたいの…

第三十二話(外伝) 「海賊」

・・・・・という段取りでお願いしたい。 ガヤガヤとした喧騒に包まれる酒場で、今まさに国を混乱に貶める密約が交わされようとしている。なによりここは酒場であり、エオルゼア全土で活動する冒険者のためのギルドでもある。 なぜ敵の手先のような機関のと…

第三十一話 「盲目なる勝利」

・・・・・こいつ・・・どこかで・・・? 私は剣を構えながら、男と対峙する。黒色のローブを着たこの男と過去に会った覚えはない。そのはずなのに、記憶の一辺になにか引っかかるものを感じる。 ズキンッ!! ・・・くっ!! その記憶を辿ろうとした時、突…

第三十〇話 「近衛騎士の誇り」

パパシャンの口上によって士気の上がり切った銀冑団の猛撃はウルダハ侵略を企んでいた男たちをあっという間に倒していく。 実戦経験はなくとも、日々積み重ねられた戦闘技術がここで花開いたようだ。パパシャンの激はオワインを初めとする銀冑団員の恐怖心す…

第二十九話 「点と線」

呆気に取られ、言葉を発することすらできないオワインの表情を舐めるように見ながら嘲笑する男。そしてローブの中から一つの鍵を取り出し、硬直したまま動かないオワインの足元めがけて投げた。オワインは手を動かすもののそれを取ることもできず、鍵もまた…

第二十八話 「失われた王冠の行方」

王家の王冠はそもそも、国賓を招いたときや国の行事の時にのみナナモ女王殿下が着用される。それ以外の時は王宮の奥の奥にある宝殿の中に厳重に仕舞われているのだ。 ・・・その王冠が無くなったのは、ガレマール帝国との戦いで亡くなった多くの者たちを弔い…

第二十七話 「凋落のウルダハ王室」

冒険者殿っ! その手紙について、折り入ってご相談があるであります!! フフルパは急にまじめな顔になり椅子の上に座ったかと思うと「がばっ」と勢いよく頭を下げた。 実はその便箋・・・前ローズ隊隊長のバルドウィンの机から出てきたものであります。差出…

第二十六話 「フロンデール薬学院の青年」

フロンデール薬学院が開いている病院に担ぎ込まれてからはや数週間。襲撃者の毒の解毒薬とワクチンが完成すると共に、私も晴れてお役御免となり退院することとなった。解毒薬については、人の精神を侵す「毒」の解毒には成功したものの、剣術士を狙うという…

第二十五話 「蜥蜴の毒がもたらす悪夢」

~ 聖アダマ・ランダマ教会 ~ 聖アダマ・ランダマ教会はウルダハに本拠を置く「ナルザル教団」が管理する教会である。昔この辺りを活動拠点にしていた「アダマ・ランダマ」という商人の残した数知れない実績を讃えて作られた教会であり、古くから商売の神と…

第二十四話 「蠍の尻尾」

私はコッファー&コフィンへと戻り、剣術士ギルドから来た救援部隊と合流した。そして怪我をした男を手配してもらった荷馬車に乗せて、フロンデール薬学院が運営している病院へと向かった。 ~病院の解放について~ 依然として減ることのない剣術士への襲撃…

第二十三話 「剣術ギルドの光と影」

私は、さっそうとクイックサンドを出ていくアルディスの背中を見送った。 あなたも・・・無事の様ね。 後始末に追われながら、給仕に色々と指示を出し終えたモモディが、ため息をつきながら私に話しかけてきた。 アルディスったら、本当に昔から何一つ成長し…

第二十二話 「赤い剣術士」

セヴェリアンお手製の「特製ポーション」をもって剣術士ギルドへと戻ると、何やら中の様子が騒がしい。私はせわしなく指示をしているミラに、セヴェリアンからポーションをもらってきたことを報告した。すると「本当に作ってくれたのか!?」と驚きの表情を…

第二十一話 「天才という名の狂人」

錬金術師ギルドへ入ると、受付に剣術士ギルドの使いだということを告げ、セヴェリアンに急ぎの依頼があることを伝えた。だが受付は申し訳なさそうな顔をしながら、「ギルドマスターから「絶対に人を通すな」と言われているので・・・」とお断りされた。ここ…

第二十話 「渇きの大地の黒き蜥蜴」

わたしはチョコボポーターを利用し、急ぎドライボーンのある東ザナラーンへと向かった。少しでも早く辿りつきたいところではあるが、道中ですれ違う可能性もある。私は大きな街道を逸れないように、途中途中にある集落に寄っては門番に聞き込みをしながら移…

第十九話 「剣を狙うもの」

あれは・・・・ 私はこちらに逃げる剣術士の男と面識がある。あれは剣術士ギルドに所属している男だ。 私は剣を抜き、逃げる剣術士と入れ替わるように槍術士の男たちの前に立ちふさがる。こいつ等は・・・シェーダー族か? シェーダー族は、グリダニアに広が…

第十八話 「暗闇に葬られし影」

そこまでだ!! 突然、女性の甲高い声が周囲に響き渡る。声がする方を向くと、そこには別の銅刃団の者たちが複数立っていた。 く・・・・ここで増援か・・・・ 先ほど逃げ出した、弓術士が応援を呼びに行ったのだろうか?いや・・・それにしてはあまりにも早…

第十七話 「正義を銅の刃に宿し」

次の日、私はチョコボポーターを利用してブラックブッシュまで戻り、その先は徒歩でロストホープ流民街へと向かった。 レオフリックは以前と同じところで火にあたりながら、流民街の住人と楽しそうに話をしている。私はレオフリックに近寄り挨拶をすると、特…

第十六話 「受け継がれる護身刀」

ホライズンに着くと、眠気と戦っているのかうつらうつらしながらも必死に堪えているフフルパに声をかける。フフルパはビクッと体を揺らして驚きおののいた。 じ、自分は決して居眠りなんかしてないのであります! と、誰に対して言い訳をしたのか分からない…

第十五話 「ウルダハの闇」

これは・・・・夢? 私は、夢の中であの銀髪の青年を見ている。夢にしては随分とはっきりとした感覚。でも実体は無く、私はふわふわと空を浮遊するように、ウルダハの街を俯瞰で視ていた。 同じようで、どこか違うウルダハの街並み。そして、銀髪の青年は幾…

第十四話 「成功の表と裏」

ブラックブッシュ停留所は、中央ザナラーン北部中央にある鉱石の精錬施設を中心とした集落だ。元々、古代アラグ帝国時代に築かれたとされる「アラグ陽道」と「アラグ星道」の二つの街道が交わる交通の要所として、キャンプ・ブラックブッシュという銅刃団の…

第十三話 「その男、サー・キヴロン」

「ただ・・ちぃっとばかし問題があってな・・・誰もサー・キヴロン男爵Ⅲ世の顔を見たことがないんだ。」さすがの私も言葉を失った。そういうことは、早く言ってほしい。ハメられた・・・・という腹立たしさで胸がいっぱいになる。 結局のところ、この急襲作…

第十二話 「貧民街の連隊長」

ロストホープ流民街は中央ザナラーン北東部、ブラックブッシュ停留所の北側にある集落だ。ザナラーン中央部には「ストーンズスロー貧民窟」など、たくさんの貧民街が存在する。それは、中央ザナラーンには水辺が多く存在することと、自然洞窟など身を隠せる…

第十一話 「手紙の行方」

ホライズンの門を出ようとすると、先日出会った銅刃団のララフェルの男が門の前でうろうろとしながら何かブツブツと呟いている。関わりあいになると面倒だと思い、目を合わせないようにしながら脇をすり抜けようとする・・・が、「あっ! あなたは冒険者さん…